クリーニングを調べているとよく目にする「ドライクリーニング」という文字。
よくわからないという方のために今回はドライクリーニングについて徹底解説していきます。
目次
ドライクリーニングとは?
ドライクリーニングの仕組み
ドライクリーニングは、水による洗浄ではなく、石油系溶剤を使用して汚れを落とす方法です。以下は、ドライクリーニングの仕組みの概要です。
- 衣類のチェック :まず、クリーニング業者は衣類を点検し、汚れの種類や衣類の素材、装飾品、ボタンなどの状態を確認します。
- 汚れの除去 :衣類に付いた汚れは、石油系の溶剤を使用して取り除かれます。この溶剤は、汚れを溶かす性質があるため、水洗いでは落としにくい油汚れやシミなども落とすことができます。
- 溶剤の蒸発 :衣類から汚れを取り除いた後、衣類を脱水して溶剤を取り除きます。その後、衣類を乾燥機に入れ、溶剤を蒸発させます。この過程では、溶剤を再利用することができます。
- 仕上げ :衣類が乾燥した後、クリーニング業者は仕上げ作業を行います。これには、アイロンやスチームを使用して衣類を整え、ボタンなどのアクセサリーを取り付ける作業が含まれます。
以上が、ドライクリーニングの一般的な仕組みです。この方法は、水に弱い素材やデリケートな装飾品がある衣類に適しており、水による洗浄で縮んだり、色落ちしたりするリスクを回避できるため、多くの人々から利用されています。
石油系溶剤とは
石油系溶剤は、石油から作られる有機化合物を溶剤として使用した洗浄方法のことです。
ドライクリーニングにおいて、洗浄溶剤として一般的に使用されます。
石油系溶剤は水と混ざりにくく、脂質や油性汚れに強いという特徴があります。また、揮発性が高く(気体になりやすい)、処理後の衣服に残留物が残りにくいという利点もあります。
ただし、揮発性が高いため、使用時には換気が必要で適切な処理が必要です。
また、石油系溶剤は環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、使用量を抑え、適切な廃棄方法を取ることが求められます。
ドライクリーニングのメリット・デメリット
メリット
ドライクリーニングにはいくつかのメリットがあります。以下にいくつか挙げてみます。
- 柔らかくてデリケートな衣類も洗える:ウール、シルク、レースなどのデリケートな素材や、ストライプ模様の入ったスーツなど、水で洗うと縮んでしまう、形が崩れてしまう、色落ちしてしまうなど、水洗いでは洗えない衣類も、ドライクリーニングならきれいに洗うことができます。
- 汚れの種類に応じて洗浄液を選択:石油系溶剤や炭化水素溶剤、フロロカーボン溶剤など、衣類の素材や汚れの種類に合わせた適切な洗浄液を使用することができます。
- 時短効果:水洗いは乾燥に時間がかかり、仕上げにアイロンを使う必要がありますが、ドライクリーニングは洗浄・乾燥・仕上げの工程が一気通貫で行われるため、効率的に時間を短縮できます。
- 衣類の劣化を防ぐ:水洗いでは、摩擦や脱水などで衣類の繊維が傷ついてしまうことがありますが、ドライクリーニングではそういったことが少なく、衣類の劣化を防ぐことができます。
- 着用感を損なわない:水洗いの場合、洗剤の成分が残ってしまい、肌に刺激があったり、衣類の風合いが損なわれたりすることがありますが、ドライクリーニングではそういったことが少なく、衣類の着用感を損なうことがありません。
デメリット
ドライクリーニングのデメリットには、以下のようなものがあります。
- コストが高い:ドライクリーニングは、水洗いに比べてコストが高くなることがあります。これは、使用する溶剤や機器の価格が高いためです。
- 染み抜きが難しい:ドライクリーニングは、染み抜きが難しい場合があります。これは、石油系溶剤が水と異なる性質を持っているためで、汚れを取り除く前に、染料を取り除いてしまう可能性があるためです。
- 臭いが残る:ドライクリーニングには、特有の臭いがあります。これは、石油系溶剤や化学薬品の臭いです。臭いが強い場合は、脱臭剤を使っても取り除くのが難しいことがあります。
- 環境に悪い:ドライクリーニングには、環境に悪い影響があることがあります。石油系溶剤は、揮発性有機化合物(VOC)の一種であり、大気中に放出されると、オゾン層を破壊したり、地球温暖化につながることがあります。また、廃棄物の処理にも問題があります。
ドライクリーニング推奨の衣類
衣類別推奨クリーニング方法
以下に一般的な衣類の種類を挙げ、ドライクリーニングのおすすめ度を星5~1で出してます。ただし、クリーニングに使われる溶剤や仕上がりの品質はクリーニング店によって異なるため、あくまで一般的な目安として参考にしてください。
- スーツ:★★★★★
- ジャケット:★★★★★
- コート:★★★★★
- ワイシャツ:★★★
- カジュアルシャツ:★★★
- ニット:★★★★
- デニム:★★★
- レザー:★★
- スウェット:★
- シルク:★★★★★
※詳細は以下のようになります。
項目 | 星 | 本文 |
---|---|---|
スーツ | ★★★★★ | スーツはドライクリーニングが最適です。クリーニングによってシワが伸び、型崩れすることが少なく、シミや汗ジミも綺麗に落とせます。 |
ジャケット | ★★★★★ | スーツ同様、ドライクリーニングが適しています。特にウール素材のものは、水洗いすると縮んだり変形したりする場合があるため、ドライクリーニングがおすすめです。 |
コート | ★★★★★ | 毛皮やダウンなど特殊な素材のコートは専門のクリーニング店でのクリーニングが必要ですが、一般的なコートはドライクリーニングで綺麗に仕上がります。 |
ワイシャツ | ★★★ | 水洗いが一般的ですが、汗ジミが残りやすい場合はドライクリーニングがおすすめです。ただし、しっかりとしたシャツの場合はクリーニングによってシワが伸びたり、形が崩れたりすることがあるため、注意が必要です。 |
カジュアルシャツ | ★★★ | 一般的なカジュアルシャツは水洗いで十分ですが、特殊な素材や柄が付いている場合はドライクリーニングをおすすめします。 |
ニット | ★★★★ | ウール素材のニットはドライクリーニングが適しています。綿素材のニットは水洗いもできますが、ドライクリーニングでも洗うことができます。ただし、デリケートな素材のため、ドライクリーニング時には特別な注意が必要です。また、柔軟性を保つために、クリーニング後は低温で蒸気アイロンをすることをおすすめします。 |
デニム | ★★★ | ドライクリーニングに対応しているデニム製品もありますが、一般的には水洗いをおすすめします。ドライクリーニングに出す場合は、色落ちや縮みに注意する必要があります。また、ブリーチ処理を施しているデニムはドライクリーニングに出さない方が良いでしょう。 |
レザー | ★★ | レザー製品は水に弱く、ドライクリーニングできないものが多いです。ただし、専用のレザークリーニング剤を使用してクリーニングすることができます。レザーアイテムをドライクリーニングに出す場合は、必ずクリーニング店に相談しましょう。 |
スウェット | ★ | スウェットは一般的に水洗いがおすすめですが、ドライクリーニングに出しても問題ありません。スウェットにプリントが施されている場合は、プリントが剥げる可能性があるため注意が必要です。 |
シルク | ★★★★★ | 高価な素材であり、自宅で洗濯すると型崩れや色落ちのリスクが高いため、ドライクリーニングが適しています。繊細な生地のため、クリーニング時には特別な配慮が必要ですが、プロのクリーニング店であれば、綺麗に仕上がることが多いです。 |
その他ドライクリーニング推奨事例
- デリケートな素材:絹や羊毛、カシミア、モヘヤなどの繊細な素材は水に弱く、ドライクリーニングで洗浄することが推奨されます。
- 染め上がりが悪い衣類:染料の定着が弱く、水に濡れると色が移る可能性がある衣類は、ドライクリーニングで洗浄することが推奨されます。
- 汚れが油性の衣類:油汚れやグリース汚れなどは水に溶けにくく、ドライクリーニングで洗浄することが効果的です。
- 金属製の装飾がついた衣類:金属製の装飾は水に弱いため、ドライクリーニングで洗浄することが推奨されます。
ただし、全ての衣類がドライクリーニングで洗えるわけではなく、衣類の素材や染料、加工などによって適した洗浄方法が異なります。衣類についての洗濯表示や取り扱い説明書を確認し、適切な洗浄方法を選ぶことが大切です。
まとめ
今回はドライクリーニングの仕組みやメリットデメリットを詳しく解説していきました。ドライクリーニングは水洗いよりも油汚れが落ちやすい反面、コスト面や環境面に負荷が生じることがわかりました。
また、衣類によってのドライクリーニングの必要性が変わってくるのできちんと確認し、衣類ことに正しい洗濯方法で洗うことが大事ということがわかりました。
是非皆さんもこれを読んで、春の衣替え前にドライクリーニングを利用してみてはいかがでしょうか?